ヤラセとバラエティ

casa_kyojin2007-01-21

「あるある大事典2」21日の放送中止

フジテレビ系の関西テレビ20日、1月7日放送分の情報番組「発掘! あるある大事典2」で架空の実験結果やデータ、専門家のコメントをねつ造して放送したことを発表、千草宗一郎社長(62)らが謝罪した。納豆のダイエット効果を取り上げたもので、放送後、全国の店頭で納豆の品切れが続出していた。同番組は21日の放送を休止。今後について協議、検討するが、フジ内部から「番組継続は難しい」との声もあり、打ち切りは濃厚だ。(2007年01月21日:日刊スポーツ)

あるある大事典」が“納豆ダイエット”を捏造、でっちあげたことが騒ぎになっている。

じつは僕自身、この番組に被験者として出演したことがある。
「硫黄泉がダイエットや血液の改善に効く」という企画だった。

そして、毎日何度も何度も採血され、まだその痕が消えきっていない腕を振り上げて言うけれど、僕たち出演者の体重の減少や、血液データの改善と、最終結果の数字は、正真正銘のホンモノだった。

ただし、途中経過の見せ方に、テレビ的な演出があったことは事実だ。
それをして“健康情報バラエティ”と言ったら、現場でディレクターさんに憤慨されたことを思い出す。


その後、製作会社のスタッフに、連絡をとる機会があったので色々聞いてみた(もちろん納豆の回の会社ではない)

この番組、とにかく制作会社の数が多すぎて、わけのわからない状況になっていたのだという。

中には、都合のいいように絵を描いて、事実や実験データをねじ曲げていたところもあり、そしてそれは業界内では有名な話だった、ともいう。

今回の納豆騒動を見れば、その「でっちあげ」は製造業や流通業とグルになった茶番だったんじゃないの? といった疑問もある(■拙ブログ:[topic] “視聴者”と読者の“民度”


ただ、僕が出演した回に関しては、本当にキッチリやっていたのだ。

一日三度風呂に入り、その都度僕はプスプスと採血され、そして数字は改善された。
だって、見た目がもう違っていたもの、抜いた血の。


でも、記者会見の内容を見ると、なんだかなあ、と思う部分もある。

約3カ月間かけて自己検証を繰り返してから番組を放送する

僕の出演した回では、ロケから放送まで一カ月と少ししかなかった。

こうしたウソの上塗りが、真実や全うな制作スタッフの存在までを押しつぶしていくことになるのだろう。



でもこの話、視聴者は100%の被害者ですか?

一日二回納豆を食べたら痩せると。

その前に食べる量を減らそうと思わなかった?
運動しようと思わなかった?


そうした大衆の無責任さの犠牲になったという意味では、「あるある大辞典」という番組は、革命が成就したあとに吊るし首になった革命家のようにも見える。

無責任な大衆は、神輿としての指導者を常に求め、そしてそれを贖罪者としてムチで打って放逐することを永遠に繰り返す(画像:萩尾望都「偽王」※現在は小学館文庫版「半神」に収録)

とはいえ、大工の息子を磔刑にしたことにくらべたら、この偶像はたかだか納豆一日二パックというお気楽さ。

──そもそも、贖罪云々というレベルの話ではなかったか。


■また「あるある大事典」にダマされた。

うそ、おおげさ、まぎらわしい!国立健康・栄養研究所も警告した人気テレビ番組のインチキを暴く!史上空前の問題番組『発掘!あるある大事典』を斬る──この本が出版されたのは、2006年5月だった。