アドレな!討論会の行方
「アドレな!ガレッジ」が、いつのまにか関西でもオンエアされるようになってた。
いわゆる“遅れネット”で、二週くらい遅れて放送されているようだ。
そして、番組のBBSがこれまで以上に大変なことになっている……。
これまでも、BBSが番組史上最高の盛り上がりを見せたことで、第二回、三回と企画が続き、その度にBBSも盛り上がっていたにしても、今度ばかりは空気が違う。
お笑いコンシャスな環境で生活している関西の人が、“アンチ芸人チーム”に対して、より厳しい目を向けること自体はわかる。
でもそれ以上に、前回までとは全く違う堅苦しさが、収録現場の空気を悪くし、番組をつまらないものにしてしまったのだと思う。
アンチ芸人たちの物言いが、字面通りの“笑えない”でしかなかったら、視聴者から厳しい言葉を投げつけられるのは当然だろう。
・アンチ芸人の人達はどれぐらい頭が良くて、なんでも知ってて、社会的地位のある人達なのかはしらないけど、面白味のない心の淋しい人達
……じつに手厳しい。
でも今回の番組は、そういう印象を与えるように、強調するように台本が書かれ、カンペが出され、編集されていた節もあった。
アンチ芸人という悪役を、悪役として強調したかった──ということかもしれない。
しかし、だとしても台本やカンペの指示の一つ一つが、じつに殺伐としすぎていたと思う。
今回の討論会を見て「……微妙」と言っていた友達に、これまでの回の録画を見せてみた。
「前は面白かったんだね!」
──というのが、その感想だった。
つまり、そういうことだったのだと思う。
・これが深夜じゃなかったらどうなってたか
深夜番組でなければ、いくらなんでもあんな台本は書けないだろう。
というか、深夜だったとしても充分微妙だったと思う。
・これが台本やとしても見てて気分を害します。
……ごもっとも。
構成台本とカンペを忠実になぞることに徹したケビンくんはさすがのプロ。
今回は台本も無茶だった上に、カンペが特にキツかった。
また、これまでいろんなジャンルの、いろんな番組に少なからず出演してきたけれど、カンペを仏頂面で出されたのは、初めての経験だった。
本当に、本当に雰囲気の悪い現場だった。
・アンチがもしかヤラセでも許せへん
バラエティ番組でも、そこに台本があったら「ヤラセ」──というのは、一般的な認識なんだろうか?
むしろ、台本があって「当たり前」なのがバラエティだろう。
実際、僕が「あるある大辞典」の収録に参加したとき、現場で“健康情報バラエティ”と言ったら、ディレクターはとても憤慨していたものだ。
つまり、「あるある──」は情報番組であって、台本ありきのバラエティではない、ということだったのだろう*1
例えば、ときどき仕事をしているプロダクションで見かける人は、「エンタの神様」で、桜塚やっくんと掛け合いをする「観客役」の仕事をしたことがあるという。
局側は、週刊誌の取材か何かに対して「打ち合わせや台本は無い」と回答していたはずだけど──まあ、ノーコメント。
・この番組も芸人さんの努力や苦労の上に成り立ってるものやって事を理解してほしい
……僕たちも微力ながら、一緒に努力してます。
もっとも、悪役の努力なんてものが表に見えるようになってはオシマイだけど(なんてことが今さらわかってきた)
・東京に住んでて関西弁喋ってる自分にとっても凄く腹立たしかったです。
方言のお題の時も、もっとポジティブな議論はしてました。
でも、編集されて、
「東京では共通語を使え」
で終わってしまった。
──それはないよなあ、と。
東京で共通言語を話そうとしないのは関西人だけ、という話は、実際はもっと盛り上がっていた。
いつでも、どんな場所でも、母語しか話さない、というのはディスコミュニケーションだろう、という流れだったにしても、あんなに殺伐とした話だけじゃなかった。
バラエティ的に楽しく盛り上がったタイミングもあったけれど、台本、カンペ、そして編集は、ああいう殺伐とした空気を演出したがっていた、ということになる。
・真剣にお笑いを見た事もないような人が芸人さんの批判するな!!
それは逆です。
見てなければ、あの程度のネタですら仕込めません。
たしかに前述のように、チーム内の全員がそういうスタンスだったとは言えないけれど、そういう努力をしていたのは、僕とケビンくんだけということは絶対に無い。
もちろんします。
僕たちだってプロです。
求められればどんなことだって言います。
ただ、お笑いのバラエティなんですから、物の言い方くらいは考えます。
──今回はそういう“仕事”をさせてもらえなかった部分が大きかった、ということだと思う。
・アンチ芸人さん達は芸人さんが嫌いなのになんで今の芸を語れるんですか? 見てるからですよね?
その通り!
・芸人を批判してましたけど、あの人たちも雇われて、キャラを作ってテレビに出て金を稼いでるだけでは?
全くその通り!
・アンチの人たちはゴリさん達が言ったことに対してただ反対のことを言ってるだけで、なんか、これと言った自分の意見がわからないし、反対のことを言って自分が一番正しいとしか思ってない
これは根本的な誤解があるなあ。
「ディベート」なのだから、とにかく相手と「反対」のことを言うのがルールだもの。
でもいつのまにか、制作サイドが「討論会」とは言っても「ディベート」とは言わなくなってきたのも事実だけれど
。
・ジャーナリストとかライターは芸能人や著名人のアラを見つけ、自由に言いまくる寄生虫じゃないですか?
正直、イエロージャーナリズムの仕事をしていた当時、そういう風に悩んだこともあった。
でも、需要のないところに供給はない──と気づいた時に、それまでよりも層倍、微妙な気持ちになったけれど。
・「ジャーナリストが電波を私物化」しているのではないでしょうか? 言いたい事を自由に言うのは勝手ですが、自由の裏には責任があるという事を忘れた討論ではないでしょうか?
これも基本的なことが誤解されていると思う。
それが台本だろうとカンペだろうと、実名で、顔出しで仕事をしていて、発言に責任を持たないなんてことは、ありえない。
・(クローンは)なんなんだろう…毎回ムカつきながら見てしまう(笑)
・クローンさんには個人的に腹が立ちますが、また、見たいと思います
……梵天丸もかくありたい。
【後日追記】
その後、この番組は二年ほど続いたが、このオンエア以降、見ることは無かった。アドレな!討論会、このあと、少なくとも一度は企画があったらしい。
以下、この企画で毎回一緒だった占い師、ゴリさん言うところの“しましまババア”こと、たまのさんと、偶然街角で出会ったときに聞いた話──
・四回目、女芸人対アンチ芸人女子チームの討論会に呼ばれた
・第三回と同じ女性D(P?)の仕切りが最悪で、三度目以上に雰囲気が悪かった
・放送された内容もただの悪口の言い合いでつまらなかった
・そして討論会の企画自体が無くなった──というのだが、どうだったのだろう。今さらだけど、最後の一回を見てみたいと思っている。
■アドレな!ガレッジ 衝撃映像DVD 放送コードギリギリ 3(DVD)その後……DVDソフト化された際に、この“人気”企画は未収録でした。
まあ、許諾問題とか色々面倒になるから敬遠されたっていうのもあるんだろうな(後日追記)
*1:特に強調しておくが、僕が出演した「硫黄泉はダイエットや血液の質の改善に効果がある」という回では、僕達被験者の体重が減り、血液データが改善されたことは、正真正銘の事実だ。