「ショーシャンクの空に」★4/5

競合の結果アカデミーは「フォレスト・ガンプ 一期一会」に。

この事実が、オスカーが指向するのは「映画」や「演技」よりも、「社会的ムーブメント」や「神話」だということを証明しているかのようだ。



映画的なカタルシスが存分に満ちあふれていることに、大喝采

たしかに、真犯人が誰だったのかは結局判然とせず、ラストのアンディ(ティム・ロビンス)とレッド(モーガン・フリーマン)の劇的な再会にしても、それは彼等の複数の犯罪行為によって手に入れたものだ。となると、ブラックでこそあれ手放しで「感動」できるような話ではない。

しかし、さすがの原作者「スティーブン・キング」。このブラックな構造も何もかも全て、痛快な活劇として素直に楽しませてくれる。
そもそも、カタルシスが絶対善を指向する必然など、この世のどこにもないのだ。そしてそれを効果的に引き立てるフランク・ダラボンの抑制した演出!

そういう意味では、この映画を「希望」「感動」といった方向から手放しで評価することには疑問がある。映画会社がその後に続くダラボンの二作品(「グリーンマイル」「マジェスティック」)を「奇跡」という言葉で無理矢理カッコで括ってしまった宣伝についても同様だ。

しかし、この抑圧部分が長すぎるかもしれない『三文オペラ』を楽しめるなら、映画というマジックに素直に酔える! それだけは間違いない。


■「ショーシャンクの空に」