movie

Love Letter ★★☆☆☆(1995/日)

メレンゲのようにフワフワな質感の映像は、いかにも岩井俊二的。 捉えどころのない映像が、情景を曖昧なデッサンのように切り取る。そうした絵作りは、まさにあのCMやあのPVで見たようなタッチ。 それ自体ユニークで面白いのはたしかにしても、映画としては…

「E.T.」★☆☆☆☆

2002年、「E.T. 20周年アニバーサリー特別版」が公開されました。パペットや着ぐるみだけで表現されていたE.T.を、最新のCGを用いて撮り直したりしたもので、この再公開だけで約4億6千万ドルの興行収入を記録しています(オリジナル版公開当時はの興収は約8…

あずみ2 Death or Love ★☆☆☆☆

前作「あずみ」が予算が豊富な「ゼイラム2」なら、今度は同じ無駄遣いをした「くノ一忍法帖」か。北村龍平は自分の作風を出し切って、それでも結果を出せなかったけれど、金子修介は彼自身の仕事ができていたかどうかもあやしい。 まず、正直なところを告白…

A.I. ★★★☆☆

鑑賞する側の前提条件として不可欠なもの、「キリスト教的世界観と照らし合わせる目」がなければ、単なるセンチメンタルかホラーになってしまう可能性も。 日本では“感傷”よりも、多くの“困惑”が向けられてしまうことになったのは、ある意味当然のこと。 「2…

「ラブリーボーン」★☆☆☆☆

クライムサスペンスとしては、コロンボ型。殺人事件の現場に犯人はキッチリ登場する。──しかし、謎解きは無し。 父親が事件の推理──というか、近所の住人を順番に、何の根拠も無く犯人扱いし始め、ギスギスした空気の中で家庭は崩壊。──しかし、家庭再生の道…

“なっち”がまた! やりやがった!!

というわけで、昨日のエントリーに続いて「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」の話です。でも、今回は愉快な話じゃないです。映画は本当に面白かったんだけど。 字幕で映画を見る時、恒例になっている“行事”があります。メインタイトルあたり…

「インディ・ジョーンズ4/クリスタル・スカルの王国」★★★★☆

というわけで、「インディ・ジョーンズ4/クリスタル・スカルの王国」を観てきました。 予告編で、インディが倉庫で立ち回りをするシーンが気になって、インディ好きのマイミクさんに聞いてみたわけです。 「あの倉庫って、もしかして『アーク』を収めたのと…

「マイティ・ハート 愛と絆」★1/5

ど真ん中の豪速球。オーバー100マイルで親米、イスラムフォビアのプロパガンダ。 イスラム=アラブはテロリストで、アラブが毛嫌いしているユダヤ=イスラエルは被害者。アメリカの反イスラム戦争に協力しているパキスタンは、イスラムの中の「いいもの」で…

「ショート・カッツ」★4/5

監督のロバート・アルトマンと、原作のレイモンド・カーバーが好きなら、もちろん避けては通れない映画。ところがところが、カーバー世界をアルトマンの筆で……なんて素直な映画にはもちろんなっていない。むしろカーバーの原作そのものの空気を期待していた…

「10日間で男を上手にフル方法」★3/5

『ブリジッド・ジョーンズの日記』がヒットしたことで、それじゃあ「あんなカンジでひとつ」と立てられた企画に、うまくスポンサーやタイアップを持ってきて、手堅くまとめたプログラムピクチャー。しかし、なかなか手堅くまとめられているので、意外や意外…

「サハラに舞う羽根」★2/5

911翌年の米英合作ということで、史実を媒介したイスラムフォビアなマチズモが見えかくれ。ヴィクトリア朝ならではの衣装や古城といったディテールは目を引くが、監督コメントにあるような「戦争反対」というメッセージが、はたして本作に存在するかどうかは…

「 ブリジット・ジョーンズの日記」★5/5

ブリジット(レニー・ゼルウィガー)の潔さに拍手! マーク(コリン・ファース)の愚直さに苦笑。 そしてダニエル(ヒュー・グラント)の情けなさは、空き缶にコイン入れてやろうか……なんてくらいに哀れ。 公開当時、話題の中心になったのは、映画の内容云々…

「39 刑法第三十九条」★3

映像や演出に日本映画らしいタッチを残しながら、端々が刃物のエッジ様に鋭く光る森田芳光の演出はさすが。 その一方で、巧妙すぎる作り込みには「策士策に溺れる」の感も。 アクの強い俳優陣の熱演怪演、そしてキャスティングそのものには素直に拍手を。 検…

「海猿」★1/5

「愛と青春の旅立ち」、「トップガン」的構造の縮小コピー。原作のシビアさやハードさは無くても、マーケティング的デコレーションにはぬかりがなく、コアターゲットのハートはガッチリキャッチ? 大丈夫です、「踊る大走査線」が楽しめる人なら。きっとこの…

「ショーシャンクの空に」★4/5

競合の結果アカデミーは「フォレスト・ガンプ 一期一会」に。この事実が、オスカーが指向するのは「映画」や「演技」よりも、「社会的ムーブメント」や「神話」だということを証明しているかのようだ。 映画的なカタルシスが存分に満ちあふれていることに、…

「フォレスト・ガンプ 一期一会」★3/5

アメリカ人、アメリカ社会が「無いものねだり」として求めるアメリカの「神話」あるいは「クロニクル」 じつはたかだか200年強しか歴史を持たない覇者の「物語」は、やはり対外的普遍性を著しく欠いている。同時代性という最大にして唯一のファクターの共有…

「マジェスティック」★☆☆☆☆

「感動」や「奇跡」のカモフラージュをまとった国策映画。彼等の「正義」や「勇気」はいつも戦死者や退役軍人が与えてくれる。 当時では反体制主義ですらある主人公を、「愛国者」に祭り上げる強引な演出は、さすがのアメリカ。この二人のカラミ(画像)は全…

「アルゼンチンババア」★2/5

これまた……長すぎ。娯楽作で112分はあり得ない。 たしかに純文学の映画化ではこういうことが往々にしてあるけれど、吉本ばなな的世界を二時間近く展開して、その尺に見合うかどうかを判断するのは、普遍的な度量衡ではなく、その人の吉本ばななに対する価値…

「エントラップメント」★2/5

レーザー光線が……とか、監視システムが……みたいなリアリティへのこだわりが、かえって物語のノリやドライブ感をスポイルしていたような気がする。ショーン・コネリーのシブさをもっと全面に押し出して、もっとシンプルにカッコよくて、スカっとする作品にし…

「ニュー・シネマ・パラダイス」★★★★★

僕はこの映画の「完全版」が大好きです。「映画好きを自称するなら、この映画をプラス評価してはいけない」とか「完全版はダメ」といった空気が、“映画好き”たちの内外にあるとして、その理由を考えてみました。誤解を恐れずに言えば、この映画の「ファン」…

「踊る大捜査線 THE MOVIE」★2/5

──全ては観客を楽しませるために。全編を貫いたその取り組み方は、クライマックスでピークに達する。 ビールのグラスを冷凍庫でカチンカチンに冷やしておいてくれる「気配り」は、時に過剰な「おもてなし」 水滴が氷になってこびりついていたら、なおのこと。…

「シンドラーのリスト」★2/5

あるシーンのためにだけ、あるいはある一言のセリフのために作られる映画というものがあってもいいと思う。 しかし、この作品がもし、ラストシーンのために作られたものなら、これはもはや芸術やエンターテイメントとしての「映画」ではない。 僕はドイツ人…

「火垂るの墓」★1/5

戦争の悲惨さなら、痛いほど伝わってくる。 しかし、安易な自虐史観からの涙を持ち出すべきではない。 大東亜戦争において、日本本土であれだけの民間人が殺されたのは、アメリカが国際法を無視、蹂躙して市民殺傷、民族浄化のための都市爆撃を行ったからで…

「摸倣犯」★1/5

時間の制約のためか、原作の二段組上下巻の圧倒的ボリュームがそのままではない分スピーディ。 ある意味、切り口を変えた別の作品。ネタバレ満載の公式サイトで話題を煽る宣伝自体、まさに「語るに落ちる」 前宣伝のテレビ特番や、森田芳光が出演した番組は…

試写会の若旦那たち

というわけで、9月18日のヤクルトホール、「サウスバウンド」試写会で居合わせた人のブログに登場してしまったわけです。 「最後に拍手している方もいましたし。見る価値はあると思います」(コウスケさん:☆パンピーぶろぐ☆「サウスバウンド」)……いやそれ…

「サウスバウンド」★1/5

我が人生で最も時間が遅く経過していった映画。お尻が痛くなるまで30分かからないのは文句なしの新記録。 例えば僕は「マジェスティック」や「海猿」といった映画が大キライだけれど、それでもそうした映画を好きな人の存在はわかる。でも、この映画は、どん…

映画「TAXi? (25日公開)」★1/5

眞鍋かをり、峰不二子意識したけど…タレントの眞鍋かをり(26)が21日、都内で、日本語吹き替え版で声優を務めた映画「TAXi? (25日公開)」のプレミア試写会にオリエンタルラジオ、高田純次(60)とともに姿を見せた。ヒロインのペトラを演じた眞鍋は「セク…

映画「魔女の宅急便」★2/5

少女が縦横無尽に活躍、ということでロリータ趣味云々と言われることもあったが、キキは年齢的には少女性愛の範疇を逸脱していそうなこともあって、それほどではないかも……という印象もある。 しかし、宮崎作品のお家芸、「少女(幼女)以外の女性の不在」「…

映画「いちばんきれいな水」★★☆☆☆

とてもきれいな映像。 とてもかわいらしい加藤ローサと菅野莉央。──でも、それだけ。「映像」の美しさ、心地よさだけでは、「映画」にはなれません。 公式サイトに曰く、ウスイヒロシ監督は「少女の繊細な胸の内を透明感のある画面に鮮やかに描き出した」の…

「プラダを着た悪魔」★3/5

「プラダを着た悪魔」って邦題は、原題 の"The Devil Wears Prada" とはニュアンスがちょっとちがうのでは? ……とも思うんだけど、どうなんだろう? さて、面白かったかというと、イエス。 いい映画だったか、というと……微妙。 DVD買うか? となると、ノー。…