「10日間で男を上手にフル方法」★3/5
『ブリジッド・ジョーンズの日記』がヒットしたことで、それじゃあ「あんなカンジでひとつ」と立てられた企画に、うまくスポンサーやタイアップを持ってきて、手堅くまとめたプログラムピクチャー。
しかし、なかなか手堅くまとめられているので、意外や意外にも結構見せてくれるところもある。
大学生とか社会人になって何年目かのカップルが、猛暑から避難するために入ったシネコンで見るにはまあピッタリ。
そんなふうに、根っこの部分はどうにもトレンディドラマの成れの果ての「月9映画」
タイアップの製品やアイテムが無闇に連発されて画面に登場するのも、平成不況からコッチの民放ドラマのようでなりふりかまわず。
その本質は、二時間ドラマ的成り立ちの「火サス映画」と同様に薄っぺらい。
マシュー・マコノヒー演じるベンは、ニューヨークでバリバリ仕事をしているヤッピー(死語?)なんだから、人前でバドワイザーを飲むなんてありえないじゃん……なんてツッコミは不粋。
それこそタイアップだったようで、広告代理店に勤める彼にとって、バドはクライアントだった、なんて設定まで用意しているのだから、妙なところに凝ったものだ(ロバート・アルトマンの「バレエ・カンパニー」は、ビールの銘柄にもっとキッチリと、ちょっとシビアな意味を持たせたシーンが登場するけれど)
ところがその一方、大企業(っていうか、あのユダヤシンジケート!)が途中で代理店を変更するようなことはありえない、といった大きなディテールをおろそかにしているのは片手落ち。
……ああそれなのにそれなのに、出版業界でメシを食っている僕に言わせても、この映画の広告屋と出版屋の描写はなかなかカッチリとまとまっているところがあって、結構好感を持った。
まあそのへんのディテールが無かったら、この映画なんてもうスッカスカの空っぽだったかもしれないにしても。
というわけで、木村拓哉が広告代理店で結局何してたのかわかんないままだった「ラブジェネレーション」や、加藤あいは一応編集者らしいけど、バイトちゃん以下にしか見えなかった「海猿」は、この映画のマジメさを少しは見習いなさい。
そして、この映画でヒロインとして、コメディエンヌとして存分に魅力を発揮していたケイト・ハドソンはマル!二重丸!!
そこには遺伝子以上の何かを感じさせられてしまった(彼女の母親はは女優のゴールディ・ホーン、父は歌手のビル・ハドソン。事実上の継父はカート・ラッセルというバリバリのハリウッドサラブレッド!)
「サハラを舞う羽」のお姫様な彼女もそうだったけれど、彼女の存在感には、周りを圧倒せずにはいられない、どこか圧倒的なオーラがある。
磁器のようにぺたーんとしたお腹(DVDのパッケージ↓でもじつは見えている)も、白人にしては薄い胸も、本当に本当に素的だと思うのだけれど、そのへんが彼女のマーケットを狭くしてしまっているのかなあ。
ケイト・ハドソン、もっといろんな映画で見てみたい女優の一人だ。
■10日間で男を上手にフル方法 スペシャル・コレクターズ・エディション
広告代理店の営業職の人が、この映画を見て「どうして広告屋は色恋沙汰にばかりかまけてると思われてるんだか、アメリカでまで……」と心底不愉快そうな顔をしていた。
でもさあ……そのまんまじゃん。
僕の知ってる限りの電通の社員は、男も女も、若いのもそうじゃないのも、全員不倫してるぞ。