反実仮想

casa_kyojin2004-02-04


夢の中に大学時代のゼミの同期生がたくさん出てきた。

授業が終わった後にみんなでガヤガヤ話をしてる。
これから飲みに行こう、なんて話になったけど、財布の中に二千円しかない、困ったな

……なんて中途半端にリアルな夢だった。

でも、実際には大学時代にそんなふうに同期生と飲みに行ったりしたことはなかったと思う。とにかく生活に追われていたから、バイトと、三度の食事だけで手一杯。
とても飲み会どころじゃなかった。もちろんサークルなんて夢のまた夢。

そんなふうに学校だけのつきあいだったこともあって、今は誰一人名前も覚えてないし、多分向こうも覚えてないだろう。


大学時代までの、社会に出るまでの時間は、どうもそこまでだけが切り離されて存在しているかのようだ。どこでどう時間を過ごしたことの実感がおよそ希薄で、そして多分実体も伴っていない。

同窓会からのハガキももう届かない。何年か前に住所確認で届いた往復ハガキに、「死亡」と書いて送り返したからだ。
名簿には死亡とか死去とか、そんなことが載ってるんだろう。それでも、ただの一人からも、何の連絡もなかった。

砂の器」じゃないけれど、過去の自分を消滅させるなんてことは、結構簡単なのかもしれない。誰からも求められない存在であるかぎり。

それでも、小中学校の時の友だちだけは、話したり会ったりするチャンスがあったら時間がすぐ戻っていく。

「故郷」というのは、そんな救い(赦しか?)があるタイムマシンかもしれない。
ただ、そんなチャンスはほとんど無いわけだけれど。