アドベント
12月が近づくと、一部のキリスト教の教会ではリース(アドベントリースとも呼ばれます)と、ロウソクを4本用意します。
まずイヴの四週前の日曜日をアドベントの第一主とし、一本目のロウソクに火をともします。そして、第二、第三と週毎にロウソクを増やしていき、第四主日、すなわちクリスマス礼拝の日にロウソクが四本そろいます
この風習はドイツで始まったといわれています。そして彼の国では、その日曜ごとにシュトーレン(写真)を食べて祝うのです。
シュトーレン、食べたことありますか?
これが置いてあるパン屋さんはちゃんとしたところが多いです。作るのに手間もコストもかかるから、割に合わないんですね。当然売値も張ります。
パンというよりはケーキに近い体裁と味のこのお菓子、砂糖がたっぷりで甘いですから、甘み抜きのコーヒーや紅茶、あとウォッカやウィスキーといったスピリッツにもよく合うんですよ。
さて、そんなふうにクリスマス・イヴとの関係で決まるアドベントのスケジュールですが、イヴといえばやっぱりパーティーでしょう。
イヴを祝う習慣は、クリスマスそのものが日曜日同様の安息日、つまり静かにして過ごさないといけない日だから、という兼ね合いからもきています。
イヴのパーティーは、そういったバックグラウンドがあるように、ただのお祭り騒ぎにしてよいものではありません。
大多数にとっての異教の祭りが、国民的イベントになっていることはひとまず置いておくとしても、せめてクリスマスそのものの意義に対する関心、リスペクトを持ってほしいと期待したくなるのはそのへんです。
子供が大きくなってからは、せいぜいチキンがテーブルにに並ぶくらい……なんて嘆く人がいたとして、それはクリスマスという習慣の本質を軽視してきたことに対する、ある種の報いです。
クリスマスを家族で過ごす日にせず、ただただケンタッキー・フライド・チキンを食べ、子供に高価なおもちゃを買いあたえる日にしていただけなら、それはいつの日か、当然の結果としてやってくるでしょう。
かくいう僕自身もキリスト者ではありません。
だから、磔刑になったキリストの「贖罪」という教義そのものに対しては複雑な思いもあります。
しかし、クリスマスの意義、そしてその過ごし方については、最大限の尊重と敬意を払いたい、と思っているのです。
自分がどれだけ愛されている幸せな存在なのかを真摯に受け止め、そしてまた自分もまたその愛情と幸せを他者に与えうる存在であることを自覚する。そうした気持ちにちょっとだけでもなれたら、クリスマスはずっと有意義なものになるでしょう。
だからといって、サンタクロースがプレゼントをくれる日としてのクリスマスを否定しているわけではありません。
サンタクロースはいるのか?
もちろん、います。
だからといって、それがイコール欲しいおもちゃを引き出せるキャッシュディスペンサーであるかのように子供に思わせてはいけません。クリスマスの本質、真実を考えれば、そんなことは決してできないはずです。
物欲道に堕ちてしまった子供たちは、クネヒトループレヒト(ドイツのブラックサンタ……怖いですよ)に袋に詰めて連れていかれるかもしれません。でも、その責めはそんな子供に育ててしまった親こそが受けなければいけないわけです。
それでは、よいクリスマスを。
あなたもまた、誰かにとってのサンタクロースでありますように。