テレビ朝日の上手な嘘:第壱回

casa_kyojin2008-08-27


マスコミなんてものは、高度資本主義社会では「社会の木鐸」でもなんでもないわけです。

スポンサーの走狗であり、自社利益追求が金科玉条
さらに、読者視聴者にサービスしなければいけないから、政治信条の左右や贔屓のスポーツやチームに対する立場は、旗手鮮明にしなければいけない。

でもテレビ朝日はやり過ぎでしょう。

■<名誉棄損>テレ朝と講談社和解 週刊現代報道で謝罪広告
毎日新聞 - 08月26日 19:18)

週刊現代の記事で名誉を傷付けられたとして、テレビ朝日早河洋副社長が発行元の講談社などに計二億円の損害賠償と謝罪広告掲載を求めた訴訟は26日、東京地裁山田俊雄裁判長)で和解が成立した。

テレビ朝日によると、講談社側は記事が事実に反することを認める謝罪広告を掲載し、テレビ朝日側は請求を放棄する。

同誌の昨年6月2日号は、早河副社長が取引先の制作会社に金品を要求したなどの疑惑を元テレ朝社員の証言をもとに報じた。

週刊現代編集部は「裁判所の勧めもあって和解した。和解内容の詳細はお話しできない」とコメント。

テレビ朝日は「できるだけ早く名誉を回復する措置が取られることが肝要と判断し、和解の申し入れに応じた」としている。【銭場裕司】


この記事は「講談社側は記事が事実に反することを認める」「(テレビ朝日は)名誉を回復する措置が取られることが肝要」という二点が注目されるように上手に仕立てられています。

そしてこの銭場という筆者の首尾は上々だったようです。

mixiの「このニュースに関する日記」にも「テレ朝ってば、お金ふんだくっちゃえば良かったのに」「テレ朝の汚名挽回(ママ)ができて良かった」なんてリアクションがあります。


さて、ここで次の記事。

■謝罪広告掲載で和解=講談社がテレビ朝日と−東京地裁
時事通信社 - 08月26日 17:05)

週刊現代の記事で名誉を傷つけられたとして、テレビ朝日側が発行元の講談社側に計二億円の損害賠償などを求めた訴訟は26日、同誌に謝罪広告を掲載することなどを条件に東京地裁山田俊雄裁判長)で和解が成立した。

同誌は昨年6月2日号で、元社員の証言を基に、テレビ朝日幹部が番組制作会社からキックバックを受け取っていたなどとする記事を掲載した。

テレビ朝日によると、講談社側は記事のうち、キックバックや不正な接待、不適切な男女交際について事実と確認できなかったことを認め、謝罪文を掲載する。テレビ朝日側は賠償請求を放棄する。

週刊現代編集部の話 裁判所の勧めもあって和解した。和解内容の詳細についてはお話しできない


テレビ朝日は、和解内容をペラペラしゃべっちゃうんだから、裁判の一方の当事者としてはずいぶんと恥知らずです。

ともあれ「記事のうち、キックバックや不正な接待、不適切な男女交際について事実と確認できなかった」と言ってるわけですね。

それが事実かどうかはさておき、「記事のうち──」ってことは、記事にはひっくり返せなかった部分があることを、当のテレ朝が認めてるわけです。

一方、毎日の記事は、そのへんを一切合切「講談社側は記事が事実に反することを認める」とやっちゃっている。

そりゃ、読んだ人も「アメリカならしっかり毀損分は金をとる」なんてリアクションになるでしょう。


ちなみに、本家「asahi.com」の記事だとこうなります。

■「週刊現代」の記事 テレビ朝日と講談社和解
asahi.com - 08月26日 20:37)

週刊現代の事実無根の記事で名誉を傷つけられた」として、テレビ朝日と同社専務(当時)が講談社などに対して計二億円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟の和解が26日、東京地裁で成立した。
講談社は記事が事実に反する内容だったことを認め、同誌に謝罪広告を掲載する。

記事は「『テレビ朝日』次期副社長の封印されたスキャンダル」と題し、昨年6月2日号に掲載された。週刊現代編集部は「裁判所の勧めもあって和解した。和解内容の詳細についてはお話しできない」とコメントを出した。

ここでも「講談社は記事が事実に反する内容だったことを認め」と、あたかも全面敗北したかのように受け取れる書き方をしています。

ウソ八百書いても和解でチョンにしてくれるなら、警察も裁判所もいりません。
この辺でもテレ朝は「できるだけ早く名誉を回復する措置が取られることが肝要(毎日)」とキッチリ逃げを打っているのだから流石です。

いいですか──この和解内容は「講談社は(略)同誌(注:週刊現代)に謝罪広告を掲載する(asahi.com)」なんですよ。
他社他系列の全国紙に掲載するわけでもなんでもないんです。
これだけで、この“和解”が、どのくらいどちらに譲歩した“決着”なのか、わかろうというものです。



そして、ここからが肝心なんですが──この“和解”や毎日の報道には、ある意図が見え隠れします。

テレ朝は、ある事件と裁判に対する対応、対抗策として、今回の“和解”を上手く活用しようとしている節があります。

その「事件と裁判」というのは、コレ↓


■捏造報道は「捏造」、週刊現代記事でテレ朝が一億損賠提訴
(読売新聞 - 08月23日 21:02)
※リンク切れのため、拙日記「どうなることやら:第零回」での引用にリンク


ロデオボーイのダイエット効果をうたったテレ朝の通販番組は捏造、とやった週刊現代を、テレ朝が訴えた裁判です。

この裁判が一年経ってどうなったかというと……


■「ロデオボーイII」効果はわずか0.4キロ 公取委がテレ朝に警告
MSN産経ニュース - 06月12日 20:55)


今回の“和解”を、テレ朝はあたかもトップニュースのような報じているというのに、地上波放送局が公取委から初めて! 警告を受けたこの件は華麗にスルー。

つまり、テレ朝は“週刊現代=捏造”というイメージを、アピールしようと懸命になっているわけです。

実際mixi日記にも、数少ない「このニュースに関する日記」の中に、この“和解”がロデオボーイについてのものだと誤解をしているケースもありました。

ともあれ、メディア戦略でキッチリと結果を出してくるあたりは、さすがにプロの仕事──ということでしょう。



さて、先に引用した日記「どうなることやら:第零回」で「『諸事情』のある私としてはなんとも微妙な状況になってきました」と書いていたその“諸事情”、その後どうなったかというと……

被告側の証人として、裁判所に陳述書を提出してます。

裁判員に選ばれる前に、反対尋問で法廷デビュー? ……なんだかなあ。


■ロデオボーイ3

いつのまにか“3”になってる……ってことはまだ売れてるんですか?