ミクシィに片思い

casa_kyojin2008-10-28

mixi年賀状──このサービス自体は面白いし、ある限定した範囲での可能性はあると思う。

なるほど、匿名(mixiのニックネーム)のまま、住所も明かさずに相手に年賀状を送れるというのは“便利”なんだろう。

でも、もし僕のところに匿名匿住所の年賀状が届いたら、正直なところ気持ち悪い。

自分の素性を隠した「ディスコミュニケーション」から出発して、どんなコミュニケーションの地平にたどり着くのか、僕には全くわからない。

そうしたコミュニケーションをしたがる人が、自分に対して何を求めているのかも、全くわからない。


ただでさえ、名前すら知らないマイミクさんに対しては、そうした距離感に居心地の悪さも感じているというのに、わざわざ匿名匿住所の年賀状が届いたりすれば……余計に悩んでしまいそうだ(僕自身は、マイミクさんには名前を公開している)


ただ、日本におけるSNS、あるいはネット社会というものは、パソコン歴が長かったり、ネット生活に慣れている人が多い(あるいはそうした人たちの価値観や度量衡が、不文律として残っている)せいか、どうにも匿名性コンシャス=善、というムードがあるように見える(あるいは、リアルワールドでもハンドルを名乗る方がカッコいい、みたいな? まあそうなると、ニフィティサーブの恐竜の遺伝子で作ったジュラシックパークのように思えるけれど)

そして、あたかも個人情報を開示することが、体制側、資本家による搾取に繋がることが必然であるかのように、鐘や太鼓で言い立てる人が多いことには時代錯誤な違和感を感じる。

この点におけるネットの空気というものは、実社会のムードを何十年も遡ったように極めてサヨク的だ。


あくまで、mixi当局に個人情報を開示したくないという人がいたとして、それは、自分のマイミクさんたちに“名前すら教えない”という選択よりも優先されるべきことなんだろうか。

個人情報を守ることを正義として掲げている人がいたとして、そのマイミクさんが僕に名前の一つも教えてくれていないなら、そこにはどうしようもないくらいに、人と人とのデタッチメントが生じてしまっている。

もちろん、それは悲しいことだ。



ともあれ、今回のサービスは自分の名前や住所を添えて送ることもできる。

多分、僕自身はそう少なくない枚数を送ることになるだろう。

そこには名前も住所も添えるけれど、どんな形であれ返事がもらえたとして、そこにmixiのニックネームしかなかったとしたならば、僕は“片思い”だったことになる。

それはやっぱり悲しいことにしても……残念なことに、もうそういう類いのことには慣れっこになってしまった自分もここにいたりするのもどうしようもない事実だ。


付記 1

広告付きで48円というコストなら、業者が宣伝に使うケースも充分に出てくるだろう。

スパムブロガーのアフィリエイト収入なんてものが、ちょっと気の利いた運営をするだけで万単位/月になるくらいのことを思えば、DM1,000通を5万足らずで発送できるというのはオイシい話だろう。


付記 2

そんなことは元より承知だったけれど……株式会社ミクシィは、ユーザーに向き合っていない会社だということが再確認できた。

この新サービスについてのリリース、提供元のアップから5時間余りで「mixiニュース」に掲載されているけれど、待てど暮らせど「お知らせ」やバナー広告は出てこない。

結局、mixiの中の人はビジネスモデル、広告モデルとしてのカネを生み出す仕組みにしか興味が無いんだろう(もし、複数のアカウントを持つユーザーや、高校生以下のユーザーが、彼らのビジネスモデルを阻害する存在だったとしたならば、mixi当局は血眼の掃討戦を展開するはずだ)

広告クライアントや株主へのアピールを優先したら、プレスリリースは一刻も早く出した方がいいに決まってる。
そして、ユーザへの告知周知は二の次三の次、と。

じつに資本主義的にわかりやすい!


この点において、この胴元は、なんとも頼もしい。


■お芋で年賀状

年賀状なんてものは、やっぱりこのくらいローテクな方が楽しいんだろうか?(やったことないけど>芋版)

■「mixi年賀状」 住所知らないマイミクに郵送

ミクシィは10月28日、mixiユーザー同士で年賀状を郵送するサービス「ミクシィ年賀状」の受け付けを、11月下旬に始めると発表した。mixiユーザーなら、相手の住所や本名が分からなくても届けることができる。

日本郵政グループの郵便事業会社と連携し、お年玉付き年賀はがきを届ける。デザインテンプレートは100種類以上選べ、標準価格は1枚98円(デザインによって異なる)、スポンサーの広告入りテンプレートなら1枚48円。

送り手は、「マイミクシィ」や「コミュニティ」の仲間などから受け取り手を選び、年賀状のデザインテンプレートを選択。メッセージや写真を添えて年賀状を完成させる。自分の住所と氏名は、記入してもしなくてもOKだ。記入しない場合は「ミクシィ年賀状事務局」が差出人になる。