さらば愛しきミクシィ

casa_kyojin2008-11-30

「まともに働いてる社会人はmixiなんてやってるヒマなんてない」「mixiは終わった」

──そんなものの言い方がある。


たしかに、“ひきこもり自由業”の僕から見ても、常にログイン状態で、メッセージを送ったらいつでも即レスのオトナがいたら、ちょっとキモチワルイ(いやそれ誰でもない僕のことなんですが)

“終わった”と巷間で言われ始めたのは、Web2.0の狂乱や幻想、カラ景気の終焉したあたりからだろう。
しかし、現実としてのmixiの引き潮ムードは、もっと早い時期から始まっていた。

mixiが“安全”で“楽しかった”のは本当の意味で“インナーサークル”だった、三年以上前がせいぜいだっただろう。
思えば、手放しで楽しめたのは2004年のサービス開始から、せいぜい一年くらいでしかなかった。


IDがまだ5ケタだったその頃は、右を向いても左を向いても友達の友達だらけ。
学校の同窓生や、かつての職場の同僚もあっという間に見つけることができた。
参加者のネットリテラシーやモラルは一般的に高く、オフがあっても安心して遊ぶことができた。

それが、ユーザー10万人突破のあたりには既に雲行きが怪しくなり始めていた……というのに、今やIDは2,000万超!(実ユーザは1,500万規模とも)

複数アカウントや業者の横行、未成年の年齢詐称といったPNGの“総合商社”となったmixiに対して、“安全”や“安心”、知人探しやオフでも楽しめるコミュニティへの参加……といった善性は、とうの昔に期待できなくなっていた。


それでも僕自身がmixiへの参加を続けているのは、“ひきこもり自由業”の僕にとって、社会へのインターフェイスの一つとして極めて有用に機能しているからだ。

メッセージのやり取りがパソコンや携帯のメールよりも便利に機能することもあるし、コミュニティではディープでプラクティカルな情報が手に入ることもある。

その上、たまにはオフで楽しめるような機会もあったりするのだから……mixi、やっぱり楽しいじゃないか!


もっとも、面倒なこともたくさんある。

スパムメッセージやコメント、ストーカーっぽい足あとは日常的なこと。
たまさか勘違いしたマイミクさんが、バトンを回したりチェーン日記をアップするといった負のベクトルを全開にすれば自分に累が及ぶことだってある。

コミュニティで勘違いした人が“暴れる”ことはしょっちゅうだし、しまいには自分のパートナーがいつのまにかマイミクの一人と結婚してしまい、僕はパートナーも少なくないマイミクも一度に失った(実話)


──でも、人生なんてそんなもんじゃないですか。


mixiに大きく失望している人たちは、イノセンスで根拠の無い期待をし過ぎていただけではないだろうか?


だって、人生や世の中に、そんなに楽しいことばかりありましたか?

友達や他人様、世間や社会っていうのはいつも優しくしてくれましたか?


mixiは自分にも人にも優しい……なんていうのはあまりにもイタすぎる幻想でしかない。



もっとも、mixiというインフラがまだまだ“捨てたもんじゃない”という話と、株式会社ミクシィが“ダメダメ”だという話はまた別になる。

この会社、前にも書いたことがあるけれど、とにかく近視眼的傾向が強すぎる。
ユーザーにとっての満足や安心よりも、常に目先の数字や利益を追いかけることで一杯一杯だ。


そんなmixiが基本テーゼだったはずの招待制を廃止し、来春から登録制に移行。その手始めとして、12月から年齢制限も緩和し、利用を中高生にも開放するというから、言葉を失った。

曰く「Gmail」や「Facebook」を例に挙げ「元々招待制だったほかのWebサービスも、登録制に移行している。サービス開始から5年経ったmixiも、登録制を導入するのは自然な流れ」だという。

単純なメーラーとしての「Gmail」や、日本ではまだまだ未知数のSNSの「Facebook」(そしてMy Spaceのことを思えばマスへの波及は疑問)と比べてどうする?

「1ユーザー当たりの平均マイミク数は24〜25だが、Facebookは70〜80人、MySpaceはさらに多い」

MySpaceの“マイミク”が多いというのは、“実感”したことがある。

登録したとたん、世界中の無名ミュージシャンからプロモーションのメールや“マイミク申請”が届く。
さらには、世界中のゲイからもセクシーなメールがガンガン届き始める。

My Spaceにはコミュニケーションツールというよりも、強迫神経症のプロモーションツールという印象が強い。


ともあれ、mixiの本音は「GREE」や「モバゲータウン」への対抗だろう。

招待不要で参加でき、年齢制限もないこれらのSNSは、10代を中心とした若年層に支持され、ユーザー数・収益面で急成長してきた。

つまり、mixiよりも広告モデルとしてより大きなカネが動いている、ということだ。

そして例によってmixiの中の人は、GREEやモバゲーが、いじめや援助交際の温床になっていることや、殺人事件まで起こっていることには「あきめくら」のフリをしているわけだ。

笠原社長曰く、従来の年齢制限“R-18”の根拠は「サービス開始当時(2004年春)の基準で、コミュニケーションスキルやネットリテラシーが付いた年代が18歳だろう」だったという。

その口が今は「比較的リテラシーが高いと考えられる15歳以上に開放」と軽々しい言葉を吐き出す。

……サンドウィッチマンじゃなくても「ちょっと何言ってるかわかんないんですけど」と半笑いになってしまうしかない。



04年にmixiが始まって以来、コミュニケーションの質やセキュリティはズルズルと右肩下がりを続ける一方だった。

今後の“開放政策”が、社会インフラ、コミュニティとしてのmixiにプラスに作用することは期待したいけれども、そんなものは“絵にも描けない”餅だろう。

いくつかのコミュニティで管理人をしている僕は、今後起こりうる様々なトラブルのことを思えば、とにかく頭が痛い。

ただただそれだけだ。

mixiサービス開始翌年の早い時期に出た「入門書」


■mixiの本

──参加方法、活用法から、mixiでコミュニティを広げるコツをレクチャーしているという。


一方こちらは、先月出たばかりのmixiの“最新”マニュアル。


■ミクシィをやめる前に読む本

──なんと、炎上やトラブルに対して「めんどくさくなっちゃった……」「もうやめたほうがいいかも……」といった場合の“危機管理マニュアル”だという

そりゃまあこの4年間に、“ケツ毛バーガー”とかジャニーズ御用達のカメラマンがホモセクハラ発覚(?)で事務所出入り禁止になったりとか、色々ありすぎたもんね。

■mixiが招待制廃止へ 来春から登録制、年齢制限も緩和
ITmediaニュース - 11月27日 18:21)

ミクシィは11月27日、SNSmixi」の利用制限を緩和し、2009年春には招待状なしでも利用できる登録制を導入すると発表した。第1段階として12月10日、18歳以上としてきたユーザー年齢制限を緩和し、15〜17歳でも利用できるようにする。

年齢制限の引き下げに伴い、ユーザーサポート体制を大幅に強化するほか、コミュニティの閲覧・投稿や友人検索機能では青少年ユーザーの利用を制限する。また一部のレビューや広告など、「青少年にふさわしくない」ものは閲覧制限する。

■「mixiを小さなインターネットに」 招待制・“18禁”廃止の狙いを笠原社長に聞く
ITmediaニュース - 11月28日 09:11)

完全招待制をアイデンティティとしていたSNSmixi」が、サービス開始5年目にして招待制を撤廃する。2009年春から、招待状なしでも利用できる登録制を導入。18歳以上としてきた年齢制限も緩和し、今年12月10日から、15〜17歳でも利用できるようにする。