漢方薬は"農薬漬け"

casa_kyojin2009-11-13

漢方米、という商品があるのだそうです。

曰く──

アトピーやアレルギー疾患向けに考案され、病気と虫害を防ぎ活性効果があるという漢方薬を散布し、漢方薬を混ぜた堆肥(たいひ)を肥料に使う。

──のだそうで。

■女性のアイデア農産物、漢方米など続々登場(読売新聞 - 11月13日 07:09)

山形県村山市の農家・高橋菜穂子代表(28)が今年4月、同市に農作物生産会社「国立(くにたち)ファーム株式会社」を起ち上げ、生産活動の場となっている山形ガールズ農場で実りの秋を迎えている。

女性ならではのアイデアや新しい農法による農産物が続々登場。16日はアトピー症状に効果があるという漢方で育てた新米「漢方米」も発売予定で、高橋代表は「女性らしさを生かし、独自販路、独自商品で農業に新風を送り込みたい」と意気込んでいる。

でもこの記事には、漢方の使用で具体的に何がどうなるのか、という肝心の部分が書かれてません。

アトピーやアレルギーってことは、漢方の散布で減農薬になるってことかな。
それならまあわかります。

まさか、土にまいた漢方薬の成分が根から吸収される、ってことはないよね。
僕は有機化化学も無機化学も全くわからないけれど──そうだとしたら荒唐無稽な話なのだろうし。


こうした文章の書き方は、文章屋のテクニックとしての、あきらかな「マジシャンズセレクト」でしょう。
「マジシャンズ──」とは、手品師が観客に手伝ってもらってトランプのマークや数字をあてる手品などを行う時に使われる手法です。
自分で選んだと思わせておいて、実は最終的な目的への誘導が、予めセッティングされている。

この記事の場合、漢方薬の効果の核心部分には触れないことで、読者に効果を"想像"させるようにしむけているわけです。
アイテムとして“よくはわからないけどなんとなく有り難そう”な漢方薬というワードを使うことによって、読者はその効果について、良い方に良い方にバイアスをかけていくことになる。

そして読者は、アトピーやアレルギーに効果があると思い込んでしまうかもしれない。
「お米に漢方が吸収されてるからかしら?」とでも思ってくれたら思うツボです。

もっともこの場合、記者に取材力や文章力が無く、肝心の部分をインタビューしていなかったり、聞いたことを書かずにスルーしてしまっただけかもしれません。
最近は、それを平気で放置する上役も増えているので、そうした未必の故意だったのかも? ということも“想像”できなくはないですが。


この“漢方米”の会社の大元は、AVレーベルSODの高橋がなりが経営している「国立ファーム」なのだけれど、高橋がなりがどうしたというよりも、中央線沿線で“農業”とか“こだわり野菜”ということになると、左巻きのバイアスがどうしても感じられてしまうのが鬱陶しいところ。

この記事を見るまでは、「農家の台所」が「国立ファーム」の経営だということは知らなかったけれど、とまあそんなわけで足を運ぶのは止めにしました。



さて、以下は岩手県の農家で聞いた話。

隣の畑はツムラとかにおさめる漢方薬を育てているのだけれど、その農薬の使い方といったらハンパじゃない!
とにかく虫がつきやすいのと、商品性を維持するために、浴びせるように農薬をバラまいている

──とのこと。

なんとなく有り難そうな漢方薬の正体がそんなことでは、一体何を口に入れたら良いのかわからなくなってしまうのだけれど。


■映画「あゝ!一軒家プロレス」

ソフトオンデマンドというか、高橋がなりの“商品性”というのは、こういういかがわしい作品(R-15ではあるけれど一般映画)を堂々と作っちゃうだけでなく、ヒョイと佐野史郎橋本真也なんてキャスティングをしちゃうところにこそあると思う。
いかがわしい商売なのに、どこか徹底的に正道をいっていることには、公明正大で清々しい印象すらあった。
本業のAVにしたって、“全裸入社式”とか“全裸フィギュアスケート”なんて言われたら、そりゃ見てみたいと思うでしょう。

でも、こうしたニューエイジ系の農業となると、いかがわしさそのものとしてど真ん中の豪速球。
残念だなあ──と思うほどのシンパシーなんて、元々持ち合わせてはいないけれど。