本むら庵 荻窪本店 ★☆☆☆☆

casa_kyojin2006-11-13


決してまずくはありませんが、評判通りの“名店”とは言えません。

ガイドブックで見つけた人が、藪、翁、砂場といったレベルを期待すると。少なくとも「?」となることでしょう。

とにかく出てくる商品にムラがありすぎます。

打ち、茹で、湯きり……等々の作業レベルは常に安定せず、フニャフニャでダルダルの蕎麦や、シャキッとはしていてもビショビショの蕎麦が出てくることが多く、プロの仕事としては言語道断です。

江戸前なのか関西風なのかハッキリしないタレは好みの問題としても、茹でや湯きりのムラに関してはプロフェッショナリズムに欠けます。

食べ物屋の対価というのは、プロの「仕事」にこそ支払われるべきであり、ここのような“勘違いした半素人”の旦那芸にはそんな価値はありません。

関係者に取材したところ、この不安定さの一因として、この店の厨房には修行中の職人さんがたくさんいるから──という理由を上げてくれた人もいました。
どなたがどんな修行をされてもかまいませんが、不充分な仕事で同じお金をとるなら、商売として不誠実でしょう。


また、各所で悪評が聞こえてくる店員の接客については、積極的に不満をもったことはありません。
たしかに、決して気持ちのよい接客とはいえませんが、スノビッシュな雰囲気で、高級店的なリアリティのある態度だと思います。
こういう店構えで気取った蕎麦が食べたい半可通諸氏には、こうしたお高い感じが喜ばれそうにも思います。
もちろん、そこには親密さや優しさといったものは感じにくいわけですが。


というわけで、蕎麦に「高級な雰囲気」だけを求める向きにはおすすめしますが、プラクティカルに美味しい蕎麦や、真っ当なホスピタリティの備わった接客を味わいたい人には他の選択肢もあると思います。


荻窪でうまいそばと言えばココ、と言っている人とは、食事に一緒に行くのは止めておきます。
でも、この店から枝分かれした、環八の反対側の店には、仲の良い友だちを連れて行きたいと思っていますが。


【追記】
このレビューは、その後食べログ当局に「伝聞に基づく中傷」と削除され、現在は当該箇所を取り下げた文章がアップされています。

問題とされ、全削除で対応したのは以下の部分でした。

「関係者に取材したところ、この不安定さの一因として、この店の厨房には修行中の職人さんがたくさんいるから──という理由を上げてくれた人もいました。
どなたがどんな修行をされてもかまいませんが、不充分な仕事で同じお金をとるなら、商売として不誠実でしょう」

「関係者」としか書けないくらい近いソースにあたって書いたものを“中傷”とされ、有象無象と十把一絡げに削除されてしまうのだから、まあなんとも素人臭い杓子定規な対応だなあ、と思った次第。

本むら庵 荻窪本店

食べログ 本むら庵 荻窪本店


■本むら庵直伝そば打ち入門
こうした本を出せるくらいに、ノウハウも、ブランドネームも確立しているのだろうけれど、とにかく仕事が安定していないのだから、プロの仕事になっていません。
仕事が不安定になるような、人材が充分ではない状況と、六本木やニューヨーク*1に出店する拡大傾向は、相容れないはずです。

*1:閉店