すぱいす(荻窪)★★☆☆☆

casa_kyojin2007-11-05


まず、ちっともインドカレーではない。

じつに美味しそうなジャポニカ米と一緒に供されるルーは、どう考えてもインドではなく、欧風か? というと、それもまた違う。
少なくともインドカレーを自称するのは欺瞞だ。


とはいえ、スパイスから作っているというだけあって、たしかに風味は豊かだ。
しかし、スープそのものにコクや旨みが致命的に不足しているので、スパイスの香りだけが突出、悪目立しているに過ぎない。

もっとも、ギーがたっぷり入った濃厚な“インドカレー”が苦手な人は、こうしたさらりとしたスタイルが好みかもしれない。

だが、さらりとしている上にコクも旨みもあるカレーが、決して珍しい存在ではなくなった現在、この店のカレーに特筆する点は無い。


たしかに、じつによく研究されていて、いろいろと吟味して作っているのはわかる。

しかし、料理学校や製菓学校を出た人の店の味としてひとつの典型──手順だけはキッチリしているが、味に特筆するところは無い(そして個性としての+αが無い)──という構図にハマってしまっている。

これではカレー作りが趣味のお父さんが、金曜の夜から準備して、日曜に娘の友達にふるまい、「美味しいです!」とホメてもらえるような類いのカレーだ。
美味しいけれど、凡庸。彼の家族は、とうの昔にその味には飽きている。

“お母さんのカレー”よりはもちろん美味しい。
しかし、“インドカレー”の専門店と比べられるような味ではない。

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