農家の台所 くにたちファーム 新宿3丁目店 ★★☆☆☆

casa_kyojin2010-04-30


高品質で高価な野菜を、目先を変えた食べ方で楽しませるアミューズメント。

野菜を中心とした素材のレベルはたしかに高い。
野菜そのもの主張は激しく突出している

しかし、形や大きさが揃わないきっつけ、火の通り方が不十分な食材、冷めてから出てくる肉や魚──調理場の仕事にはプロフェッショナリズムを感じにくい。

その上、サラダバーで並んでいる食材や加工品がいくつも、ほぼそのままの形で、先付けや焼き物、汁物、でダブって登場する。
これでは、飽きるなという方が無理だ。

ここで出てくる野菜はたしかにモノが良いし、珍しいものも多い。
でも、美味しいものが好きな人であれば、こうした食材を真っ当に調理して、キッチリ仕事をした料理として、美味しく供してくれる店をいくつか知っていることだろう。

また、待たされたり行列したりした後に、やっと通されるフロアがまた、神経症的でいけない。

とにかく効率重視の配置で、テーブルとテーブルの感覚は狭い。
フロアにも座敷にも、選挙の投票所の記入台のように、横一列にズラリと並べられたカウンターやテーブルがある。

販売コーナーでは烏骨鶏の卵も売られていたが、烏骨鶏なら、この店の客よりも広いスペースでゆったりと自由に暮らしていそうだ。

もし、どうしてもこの店で食事をしたいのであれば、例外的にゆったりとしている奥の座敷のテーブルを予約しておくことが必須だろう。

とはいえ、店中にベタベタと貼り巡らされた生産者や食材、商品の宣伝のポップは、もちろん座敷の壁や、床の間もギッシリと埋め尽くしている。

そうしたキッチュさは、学園祭の教室でやっている喫茶店のような雰囲気が好きな人ならば、おそらくは楽しめることと思う(ウンチクやギャグ? のベタさも学生ノリだ)[★2]


■国立ファーム ガールズ農場の健康的なお米「漢方米」

国立ファームといえば、「漢方米」を思い出す。

この米、昨年読売新聞に取り上げられた時は「アトピーやアレルギー疾患向けに考案され、病気と虫害を防ぎ活性効果があるという漢方薬を散布し、漢方薬を混ぜた堆肥(たいひ)を肥料に使う」「アトピー症状に効果がある」と紹介されていた(拙ブログ:■漢方薬は“農薬漬け”

料理を食べさせるだけでなく、野菜や加工食品の販売に熱心な「農家の台所」でも、もちろん大プッシュで販売中。

でも、店頭や商品のどこにも“アトピー”“アレルギー”という文字は無い。
いつのまにか立ち上がっていた通販サイトも同じだ。

──それは当然だろう。そんなことを書いたら、薬事法にひっかかってしまう。

ところが、商品のラベルや、店頭のポップ、通販サイトとは比較にならないほどの大メディア、全国紙では“アトピー”も“アレルギー”もアリになってしまうのだから、こんなパラドックスも無い。

効果があるというのなら、どこでも胸を張って主張すればいい。

代用医療の現場で実績が評価されていても、薬事法の関係で効能をうたえない食材や加工品、健康食品の類いはいくらでもある。
しかし、その効果は口コミなどでしっかりと伝播されていくものだ。

漢方米に関しては、この“潔さ”が逆に気になる。
もちろん、そうした効能とは無縁のところで、美味しいというのであれば、それは一つの達成だろうけれど。