PIZZERIA BAR NAPOLI(吉祥寺)★☆☆☆☆

casa_kyojin2011-10-16


まず、事実関係を明らかにしておきます。
この店が掲げている 「VERA PIZZA Napoletana ─ 真のナポリピッツァ協会"」の看板は“ニセモノ”
マークやロゴを、本物の看板に似せた「コピー」です。

真のナポリピッツァ協会日本支部事務局によると、同協会の看板は「認定店のみにイタリアの協会本部から貸与されているもの」
今後、同協会の幹部がこの店を訪問して「ロゴマークの取り下げをお願い」するとの由。

しかし……このロゴマーク、商標登録されておらず、法的な規制ができないとも。
このご時世に、ちょっと脇が甘すぎたようですね。


とはいえ、真のナポリピッツァ協会の認定店だから美味しいというものでもないし、この看板を掲げることで課される制約とは一線を引き、美味しいナポリピザを食べさせてくれる店はたくさんあります。

では、この店はどうなのか?──ナポリと名乗るには、素材や仕事、価格設定やオペレーションと、色々とひっかかりがありました。


メディアで紹介されることも多いこの店の、一番のウリはランチタイムの500円のピザです。
テレビ番組によれば、夜のメニューと同じピザが、値段だけランチ設定になっている──とのこと。

だとしたら、充分のコストパフォーマンスでしょう。
トマトソースのフレッシュ感だけは、それなりに評価できます。

しかし──25センチのマルゲリータが夜は1,500円。

写真は、マルゲリータとマリナーラ・スペチアーレのメタメタ(ハーフ&ハーフ:1,550円)ですが、モッツァレラチーズはこのようにほんの少しだけ。
そもそも、このように形は歪で、具材も偏っています。
メニューによると、マリナーラはスペチアーレになると、素材がグレードアップするというけれど、食べた印象では「?」
また、どのピザも、+500円でモッツァレラを水牛のものに変更できるとのことですが、さぞたっぷりとトッピングされていることでしょう。

宅配の「ナポリの窯」でも、25センチのマルゲリータは1,500円。
味は好みがあるでしょう。
ただし、ナポリの窯の方が、形は丸く、具の偏りもなく、モッツァレラもたっぷりです。

もちろん、500円のランチでこれが出てくるなら大満足です(そして、お値頃だと思うでしょう)
しかし、1,500円+テーブルチャージ300円=1,800円の商品として考えると、僕なら電話一本で家にデリバリーしてもらう方を選びます。

また、生ビールのサーバーの清掃などのメンテナンスや、ガス圧の管理が悪いのか、サッポロの生ビールも、ギネスも、気の抜けた様な味でガッカリ。

二階の客席で、巨大でカラッポな水槽に、なぜか数匹泳いでいるアジ──というインテリア? や、日中のパーティーの後を片付けていないのか、放置したままのワインを冷やす巨大なボウル? がいくつかそのままだったことにも、違和感と居心地の悪さを感じました。

そして、ピザからドドっとこぼれた具材とソースを肴に、残りのビールを飲んでいたところ、皿はいきなり下げられてしまいました。
目でとがめたつもりだったのですが、お店の人はスルー。
こうしたアイコンタクトが通じなかったことは、日本語の通じにくい中国料理店ですら経験したことがなかったので、とても残念に思いました。


500円なら悪くない──本当にそう思います。
しかし、料理や値段はさておき、雰囲気やオペレーションの居心地の悪さについては“看板に偽りあり”の店として、じつに“それなり”ということでしょう。

真のナポリピッツァ協会に認定されていなくても、本格派のナポリピザが食べられる店はいくらでもあります。
しかし、この店がそうだとは、とても思えません。


■真のナポリピッツァ技術教本:「真のナポリピッツァ協会」日本支部

協会オフィシャルのプロ向けの教本。
残念だけれど絶版のようで、中古市場では軽くプレミアがついている様子。

ピッツェリア バール ナポリ 吉祥寺本店

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