春木屋 荻窪本店 ★★☆☆☆

casa_kyojin2007-11-03


東京ラーメンのある意味においてのレファレンス。
しかし、決してマスターピースではない。

ここのラーメンが好きだという人は、当世風に吟味されたラーメンには興味の無い人だろう。
スープの味はよくいえばシンプルで、直球勝負のピッチャーのような愚直にオーソドックスなタイプなのだけれど──その球速は既に衰え、コントロールも甘く、一本調子で平板な棒球だ。

全盛期に食べてみたかったものだけれど、往時の勢いがあったとしても、この平板な味とユルいオペレーションでは、群雄割拠の現代ラーメン市場では、ひどく見劣りしてしまう。
東京のしょうゆラーメンというのは“こういうもの”、という一つの古典、典型としてのレファレンスではあっても、味的、仕事的にマスターピースにはなり得ない。

それでいて、値段が高すぎるのは致命的だ。
これだけラーメンが進化した今、あの程度のスープ、あの程度のチャーシューであの値段では、コストパフォーマンスが悪すぎる。
懐古趣味で礼賛絶賛するのは、妙にスノビッシュでムラ意識の強い古くからの地元民だけで充分だろう。

暑い中寒い中、店の外で「聖地巡礼」の行列を作っている人たちは、どのくらいがリピーターになるのだろうか。

春木屋 荻窪本店

食べログ 春木屋 荻窪本店


■東京荻窪中華そば『春木屋』(1食入)

新横浜ラーメン博物館への出店時に作られた家庭用の商品。
丼まで販売されているくらいなのだから、なるほどブランドになってしまったものだ。