浜町藪そば ★★☆☆☆

casa_kyojin2012-01-11


茹でや水切りなどの仕事はキッチリしている。
しかし、特に香りが高いわけでもない蕎麦は、ごく平板な味わいでしかない。
粉は産地や品種も吟味して──といったマニアックな蕎麦屋が増えた今となっては、特筆するところはなく、この店の蕎麦でなければいけない理由は見当たらない。

そして何より、高い!

神田や浅草の藪にしても、決して安いとは言えない。
しかし、それらの店と比べて圧倒的にキャラクターの薄い、個性の乏しい蕎麦と汁、いかにも藪的な盛りの少なさで、せいろ630円は高いと感じさせられた。
まして、鴨せいろを頼んだりすると、1,580円もする。
脂身も小ぶりに刻んで入っていたりと、丁寧で美味しかったにしても、金額的にひとまずひっかかる。
また、せいろと同じ値段の板わさも、厚さ1センチくらいのものが二切れと、割高感が強い。

結論として、とにかく、仕事はキッチリとしているが、コストパフォーマンスが低すぎた。

明治座観劇のついでの観光気分や、池波正太郎聖地巡礼といった向きには需要も価値もあるとは思うが、真っ当な仕事がなされた極めて普通の蕎麦を食べるためだけに、わざわざ人形町まで足を運ぶ必要も無いだろう。


■池波正太郎の食まんだら(佐藤隆介:新潮文庫)

池波正太郎の書生だったという著者が、池波にちなんだ店や宿を再訪し、あの味の「今」を亡師へ報告する──というこの本に、たいめいけん野田岩に並んで、浜町藪そばも登場する。

さて、どんなことが書いてあることやら……。

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