オウム VS 警察 史上最大の作戦

casa_kyojin2004-04-24


今日放送の「緊急報道ドラマスペシャル オウム VS 警察 史上最大の作戦」(日本テレビ)に、エキストラで出演しています。
このドラマ、スポーツ紙やワイドショー的には、元チェッカーズの高杢禎彦がクリシュナナンダ=林郁夫役で出演することが話題になっている模様。


週刊ポストオウム真理教取材班記者として、自分史的な総括に──ってわけでもありませんが、色々と感慨深いものがあります。

役柄は、オウムの中枢施設「サティアン」に強制捜査に入った警察官。
階級は巡査部長(用意されていた略帽の中から、サッと線の多いものを選んだ)
自衛隊から借りた防護服(という設定の一般の迷彩服)を着て、ブーツを履いたら機動隊員のできあがり。

ロケ地は、上九一色村の本物の教団施設跡に、当時のサティアンを再現したオープンセット。
真っ白な雪をのせた富士山の麓に吹き渡る、キンキンの風に吹かれながら隊列を組み、あっちにいったり、こっちにいったり……。

待ち時間(テレビや映画ではとにかくこれが、長い!)は、ロケバスの中でエキストラ一同、とにかく震えてました。
防護服──ってことにしてる迷彩服のチームはまだラクだったのだけれど、紺色の機動隊員(with ジュラルミンの盾と警棒)チームは手甲などなどの重装備なので、動いて汗をかき、待ち時間に濡れた肌着が冷え……の繰り返しで、本当に辛そうでした。


そんな極寒のロケで嬉しかったのが、暖かい昼食!

控え室の地元の集会所? で、ケータリングっていうか地元のおばちゃんたちが作ってくれた、ひっつみ汁が本当に美味しかったです。
俳優さんもエキストラも、ほぼ同じところで食事したり、支度したり、のんびりしたロケだったなあ。
玄関ホールみたいな所に置かれた会議机で、自分メイクでドーラン塗ってた宇梶剛士さん(管理官役)は、ほんとにおっきな人でした(今調べたら、公称身長190センチ!)


食事というと……

このドラマでは、サティアンの隠し部屋から“発見”される麻原彰晃役もエキストラだったんだけど、朝一番から長髪のヅラと付け髭のメイク、紫のクルタ(幹部用信者服)姿だった彼を、エキストラ一同なんとなーく遠巻きにしてしまい、待ち時間のロケバスの中でも、集会所で食事の時も、彼を中心に爆心地のような空白ができちゃってました。

なんだか悪いことをしたようにも思うんだけど……だって、ねえ。


セリフ、つきそうだったんだんけどなあ……現地オーディション? の本読みで落とされちゃいました。
隠し部屋に潜む麻原を発見! のシーンに出られそうだったんだけど、残念。
……でも、これは明らかな実力不足でした。



さて、元オウム取材班として、このドラマに少しツッコミを。

タイトルに「史上最大の作戦」と言っているけれど、警視庁捜査一課主導のこの強制捜査は、完全な“抜け駆け”
というのは、当時の捜査の進展状況は、捜査一課も、公安も、そして、あっちもこっちも動いていたのだけれど──

一課がガサ入れに動いたの根拠は、目黒公証役場刈谷さん拉致事件
しかしこれは、独断専行のフライング。
この独断専横で、警察は、というか、日本は大きな魚を逃してしまった。

公安と警察庁は、もっと大きな枠組みで捜査を進めていて、諸々の準備が整ったところで、一気に強制捜査に入るつもりだった。

この「準備」の中には、ちょっと書けない話もたくさんあるのだけれど、捜査一課が拙速な捜査をしたことで、真相がウヤムヤになってしまったことは少なくない。

──と、当時の情報元からは聞いています。

この情報元が、警察と関わるどのへんの人なのか、なんてことは、もちろん“ニュースソースの秘匿”の原則の話だ。

そして、その人からは、地下鉄サリン事件とその報道をめぐる大きな欺瞞、というラジカルな大ネタもまた、仕込まれていたのだけれど、誌面に掲載されることはなかった。

多分、僕が墓場まで持っていくことになるのだろう。

もしかしたら、話せる、書ける日が来るかもしれない。
そのころには、オウムも、地下鉄サリン事件も、人々の関心を一切失っているのだろうけれど。


でも、ひとつだけ書いておこうかな。

地下鉄サリン事件の当初、あの混乱の中、散布された毒物が何なのか、誰もわかっていなかった。
やがて、治療現場のフィードバックや、クロマトグラフィーによる検査などから、化学兵器サリンだと判明していく──というのが、事件当日の流れ。

──しかし、もっと上では、あれがサリンであると当初からわかっていた。

どうしてそんなことが言い切れるって?

報道発表で、事実が歪められていたからです。
つまり、オウムがテロに用いたサリンが、はたして“どんなサリン”だったのか、を問題にされると困る人、っていうか組織、というかなんというか……がある、ということ。


20年も経ったら話せるのかな。

でも──そんなに面白い話でもないけどね。

仕事的にもう一つ。

じつは、上九一色村介護保険の導入に向けて発表した「介護福祉プラン」──まあ主として監督官庁向けにプレゼンテーションされるものですが──を書いたのは、ワタクシです。

小さな自治体は、その類の文書を専門業者に発注することも多いのだけれど、そういう大きな業者が下請けに振った仕事が、めぐりめぐってたまたまやってきた、ということ。

アメリカのADA法を下敷きにしたりして、格調高い仕上がりになったと自負してるんだけど……でも、誰も読むことはない類の文章だよなあ。


■岩手県産「ひっつみ」

ほうとう」みたいな平打ち麺ではなかったので、「ひっつみ」と書いてしまったけれど、「ひっつみ」っていうのは、南部(青森東部〜岩手北部にかけてのエリア)の郷土料理なんですね。

……じゃああれは、なんだったんだろ?

形的には、じつに「ひっつみ」とか、イタリアのオルケッテ、支那のマオアールってあたりの小麦をねって、ギュッとした感じの形だったんだけどなあ。
あ、大分のダゴ汁っていうのもありますね。