リーバイスに“気をつけろ!”
子供の頃、ジーンズで一番好きだったはのはBOBSONだった。
多分、ロゴとマークの影響だと思う。
でも、こだわっていたのは小学生の頃まで。
その後しばらく、僕にとってのジーンズというのは“なんとなく”履くもので、サイズの合うものを履いていた、という感じだった。
その後、それなりにLevi'sの洗礼を受けたりしたけれど、体型と相談しながらのLee中毒になってしまったのは、二十代も半ばを過ぎてから。
リーバイスは今も一本持っているけれど、イマイチ体型に合わないのと、最近はどうも布地のクオリティに疑問があって、敬遠している。
特に最近は“疑問”どころか、あからさまに布地が薄い。
ひさしぶりに触った新品の501は、これがあの501? と驚くほど、ペナペナの薄っぺらだった。
近所のセレクトショップの店主の話──
「最近のリーバイスはね、ほんとに薄い。
だから、ヒョイって座った途端に、お尻のところがパックリ割れちゃったりするの。
まだ新しくても、傷があったりしたらそこからパカッといっちゃう」
──でも、中古のリーバイスを探しているときに、そこまで“薄い”と思ったことは無い。
となると、ある時期を境に、品質がガクンと下がった、ということなのだろう。
お尻が割れるほど薄いとまで聞いたら、どうにも手をだしづらい。
ゴツイ風合いの記事は、織機の関係で大量生産できないらしい。そうした生地でキッチリ作ると、販売価格が万を超えちゃうので、そんな商品は量販店には置けなくなる。
レディースは、スーパースリムが流行っていたりで、生地が薄くなる傾向は加速しているのかもしれない。
リーバイスのスワロスキーのやつは薄かったなあ……本当に紙みたいだった。
その店主が教えてくれたデニム業界裏話は、他にも色々あった。
例えば──
大流行りのアウトレットモールには、ジーンズブランドもよく出店している。
とにかく日本全国いろんなところに、たくさんできてしまったものだから……アウトレット商品としてのB品、ハネ品が足りなくなっているらしい。
だから、例えば9,800円が3.980円(ジーンズだとだいたいこのくらい)という商品があったとして、それは必ずしもB品じゃないという。
「最初から小売価格を3.980円に設定した商品を作る」ということが横行しているというのだ。
そういう商品は、レギュラー商品とシルエットだけは同じで、布地や縫製がダウングレードされている。
そして例えばBIG JOHNの場合、品番に「R」という記号が付け加えてあるという。
さて、そんな話を教えてもらいながら、ついつい買ってしまったEDWINの505S3というカスタムライン(上画像:ジップフライ部のアップ)
じつは、これが我が人生最初のエドウィンだ。
エドウィンの何が嫌いだったかというと、あのレザーパッチ!
テラテラした質感の無い皮に、赤のロゴ。そしてロットとサイズの印字の中途半端な書体と大きさ!
ところが、このへんのカスタム商品だと、パッチもいろいろあるようだ。
このS3には、鹿革のシンプルなのがついている。
コインポケットのヘリに露出させた赤耳はちょっとリーバイスを意識し過ぎかな、とも思うけれど、ディテールそのものはちょっと面白い。
例えばジップフライのところには、じつに目立たないけれど、「W」と「S」の刺繍が入っている。
生地の質感も、ヴィンテージ加工に過剰なところが無いのが気持ちいい。
──と、いいことづくめなのだけれど、唯一気に入らないのが、ヒップポケットのディテールだった。
ステッチの形はともかく、ポケットの形そのものが妙に間延びして、もっさりしているのが気に入らない。
でもこれには、“大人の事情”もあるらしい。
「形もステッチの入れ方も、リーバイスがパテントでがんじがらめにしちゃってるんだよね。
針や糸の太さまで登録してあるから、ちょっとでも似ちゃったら訴えられる(店主)」
たしかに、リーバイスのヒップポケットはカッコいい。
でも……破れちゃうんじゃ、ね。
エドウィンやリーでは、表参道の直営店だと直営店限定モノがあったりします。
また、通販の直営店にも、限定やバーゲンで面白いものが並んでいることがあったりです。