紅白屋洸庵(井荻)★★☆☆☆

casa_kyojin2004-02-19


病み上がりの安倍譲二がテレフォンショッキングに出演したときに、医者にコレステロールに気をつけろと言われてる、なんて話になった。
「でもタモさんさぁ、体に悪いものがおいしいんでさぁ。カツもさ、ヒレカツなんかじゃなくて脂身のたっぷりのロースだよね」なんて言ってたのは、関根勤のモノマネのネタにもなってる。

「体に悪そうなものの方がウマイ」というと、やっぱり思いうかぶのは「ラーメン」だ。
背脂とかチャーシューの脂身とか濃厚なスープとか……とにかくコレステロールは高そうなわけで。

ところが、最近のラーメンにはそういうギトギトさと遠い所にあるものも多い。
醤油系のすっきりスープに限らず、豚骨やダブルスープ系にも、妙にヘルシー指向のものが増えている。

素材を吟味して、スッキリ仕立てた“イマドキ”のラーメンを、いろんな意味を込めて“ニューラーメン”とカッコでくくって呼ぶことにしている。

そんな“枠組み”の発見のキッカケとなったのは、湘南に住んでいた頃の近所のラーメン屋「めんめん亭★★☆☆☆」だった。

店もスタッフの衣服も小ぎれいで清潔。店内のポップやメニューに、食材や水へのこだわりがいろいろと書いてある。スープは過剰な豚骨臭や魚介臭や、化学調味料の味とは無縁。
──そしてもちろん(?)、スープが無くなると終了だ。

このように、“美味しそうな”ディテールは揃っている。しかし……食べると何かが足りない。

素材も仕事もキッチリしているのに、パンチや個性に欠ける“イマイチ”なラーメンが、僕の定義する“ニューラーメン”だ。

僕にとっての“ニューラーメン”は、そういう小ぎれいな数多の店たちに始まって、池袋東口の「えるびす★★★☆☆」で終わる。



さて、西武新宿線井荻駅前で事実上唯一のラーメン屋「紅白屋洸庵」(「福しん」や「東秀」はあるにしても、もちろん数には入らない)

店鋪の造作にオシャレ度は無く、店内のBGMも演歌のミュージックテープのことが多く、素っ気無い(今日はコスケベ声の増位山が「そんな夕子にほれました」を歌っていた)
店構えはご近所ラーメン屋の典型、って感じではあるけれど、ここのラーメンがまた典型的な「ニューラーメン」なのだ。

店名の通り、豚骨で見た目に白い「白ラーメン」と、それをベースにして唐辛子油で彩られた辛口の「赤ラーメン」がメイン。
それにバリエーションとして、焼きネギやニンニク、ネギ油を加えた「ネギラーメン」や、魚介系の旨味やブランデーで調味した「海鮮ラーメン」などがある。

ネギラーメンの具は、控えめな量のもやしに支那竹、それにチャーシュー。スープもしっかりとってあるし、バラ肉を自家調理したチャーシューも脂身がトロっとしていておいしい。
化学調味料は使っていないか、あるいは極少量。スープの味は上々で、そう熱くない温度で出てくるあたりが“まさに”ニューラーメン的。

たしかにおいしい、いろいろと吟味されてるし、手もかかっている。味も悪くない。
でも、妙にとりすましたような印象が先に立ち、どうにも居心地が悪くなってしまうのだ。

先述の「めんめん亭」にしてもそうだけれど、近所だから行くけれど──という類いの店だろう。

夜になると表通りに出てくる看板(写真)は、なぜか屋号が書かれていない。

「山手(代々木上原)」や「紅白屋(駒場東大前)」の関連店らしい(川越にあった「小江戸紅白屋」は以前は関係があったようだけど、今は店名も変わったとかで「?」)


さて、コスケベ声の増位山のCDは、コレ。


■増位山太志郎「そんな夕子にほれました」C/W「そんな女のひとりごと」

※閉店のため「食べログ」への口コミ投稿は無し